「なんでそんなに嫌なの?隠してたこと、全部話しちゃいなさい。楽になるわよ」
少し冷えてしまった真紀の身体を温めようと抱き寄せる。
「部長さん・・・とってもいやらしかったんです・・・いつもジロジロ私のことを見ていて肩や髪や腕に触れたり・・・それに断っても何度もしつこく誘って来て・・・困っていたんです」
やるほど。
やはり思った通り、清野はセクハラ上司だったのだ。
人妻になった真紀を忘れることなく何年も想い続けたあのしつこさは並みじゃない。
そんな男に狙われしまった真紀は不運としか言いようがない。
「結婚してからも主人が留守の時に何回か家に来たんです・・・」
「なるほどね。あらら・・・それであんなに嫌がっていたのね。断りきれなくて今みたに一度だけなら仕方ないって抱かれちゃったんだ・・・部長さんが昔の男ってわけか。真紀ちゃんもなかなかやるわね」
「よしてください。いくらなんでもわたしはそんなふしだらな女じゃありません・・・家になんか一歩も入れてません・・・」
すこしからかっただけであまりにもムキになって嫌がっているのでもっといじめたくなる。
「ふーん・・・真紀ちゃんはふしだらじゃないんだ。だけど・・・エッチはダメでも電車の中ではスカートの中まで触らせてあげたんでしょ」
「えっ・・・」
急に沈黙が訪れる。
「しかも一度だけじゃなく何度も。いつもふられてばかり愛しの真紀ちゃんをやっとつかまえることができて至福の時間を過ごせたってすごく感激してたわよ」
「な、なんのことですか・・・わかりません」
「とぼけるの上手ね。会社辞める時だって部長さんの気持ちを知っててあっさりいなくなったんでしょ?好きだって言って一生懸命引き留めたのにって悲しんでた。そんな秘密の話を・・・いろいろ聞いちゃったの。こんなこと、ご主人には絶対知られたくないわよね」
「なんでゆきさんが知ってるの?どうして・・・どうして・・・」
「水くさいわね。何でも話してほしかったわ」
「・・・まって・・・ちがうの・・・それはちがうの・・・」
「それで、あまりにもしつこかったから会社辞めてから抱かれちゃったんだ。結構大胆なことするのね」
「ですからでたらめはよして下さい。今まで部長さんになんか・・・絶対に抱かれてなんかいません・・・いなかったのに・・・」
「抱かれてなくても電車でのことは本当なんでしょ。そのころからご主人を裏切っていたんじゃない?今さら言い訳はできないわよね」
二重三重の秘密が真紀をがんじがらめにして追い詰めていく。
腕の中の真紀が大きく深呼吸をしてその時のことを思い出す。
「・・・あの日・・・男の人の手がお尻にあったと思ったらいつの間にスカートの中に・・・あぁぁ・・・それからはもう気持ち悪くて・・・怖くて・・・逃げられなかったの」
「それで?」
「次の日も気が付いたら後ろにいたんです・・・部長さんだった・・・胸まで触られて・・・怖くて・・・怖くて何もできなかった・・・」
「逃げなかったってことは痴漢されてもOKってことじゃない。おバカさんね」
「・・・しつこくて・・・だって・・・自分の上司じゃないですか・・・あぁぁ・・・部長さんからやっと逃げたと思ったのに・・・」
確かに事を荒立てれば自分も無傷ではすまなかっただろうし、同じ社内にいた雅彦さんをも失ってしまったかもしれない。
今の時代では通用しないだろうが、真紀らしい選択だ。
「つらいことがあったのね。いつまでも引きずっていないでもう忘れましょう」
「忘れられるわけない・・・あんな人に私は抱かれてしまったんです・・・」
「しっかりしなさいってば。あなたは旦那さまの運命を握っていて幸せのためにがんばってる。それでいいじゃない」
栗色の髪を撫でると真紀がしがみついてくる。
「どれだけがんばれば許してくれるの・・・ゆきさん・・・ゆきさん・・・」
「まだまだよ。部長さんがね、今日雅彦さんが会社に行ってからまたゆっくりと会いたいって言うの・・・どうかしら・・・あなたを想うその気持ち、わかってあげなさい」
「そんなこと言われても・・・あぁぁ・・・どうしたらいいの・・・どうしたら・・・いいの・・・ゆきさん、教えてあぁぁ・・・」
私に答えを求めても無駄だ。
「迷うことはないわ。いつも言うけどあなたのことはあなたが決めなさい。みんなが幸せになるにはどうしたらいいの?」
うつむいている真紀の顔をこちらに向かせ涙でいっぱいになっている瞳を見つめてしっかりと言いつけると、泣いたまま黙ってまた下を向いてしまう。
「しっかりしなさい。どうするの?」
少し冷えてしまった真紀の身体を温めようと抱き寄せる。
「部長さん・・・とってもいやらしかったんです・・・いつもジロジロ私のことを見ていて肩や髪や腕に触れたり・・・それに断っても何度もしつこく誘って来て・・・困っていたんです」
やるほど。
やはり思った通り、清野はセクハラ上司だったのだ。
人妻になった真紀を忘れることなく何年も想い続けたあのしつこさは並みじゃない。
そんな男に狙われしまった真紀は不運としか言いようがない。
「結婚してからも主人が留守の時に何回か家に来たんです・・・」
「なるほどね。あらら・・・それであんなに嫌がっていたのね。断りきれなくて今みたに一度だけなら仕方ないって抱かれちゃったんだ・・・部長さんが昔の男ってわけか。真紀ちゃんもなかなかやるわね」
「よしてください。いくらなんでもわたしはそんなふしだらな女じゃありません・・・家になんか一歩も入れてません・・・」
すこしからかっただけであまりにもムキになって嫌がっているのでもっといじめたくなる。
「ふーん・・・真紀ちゃんはふしだらじゃないんだ。だけど・・・エッチはダメでも電車の中ではスカートの中まで触らせてあげたんでしょ」
「えっ・・・」
急に沈黙が訪れる。
「しかも一度だけじゃなく何度も。いつもふられてばかり愛しの真紀ちゃんをやっとつかまえることができて至福の時間を過ごせたってすごく感激してたわよ」
「な、なんのことですか・・・わかりません」
「とぼけるの上手ね。会社辞める時だって部長さんの気持ちを知っててあっさりいなくなったんでしょ?好きだって言って一生懸命引き留めたのにって悲しんでた。そんな秘密の話を・・・いろいろ聞いちゃったの。こんなこと、ご主人には絶対知られたくないわよね」
「なんでゆきさんが知ってるの?どうして・・・どうして・・・」
「水くさいわね。何でも話してほしかったわ」
「・・・まって・・・ちがうの・・・それはちがうの・・・」
「それで、あまりにもしつこかったから会社辞めてから抱かれちゃったんだ。結構大胆なことするのね」
「ですからでたらめはよして下さい。今まで部長さんになんか・・・絶対に抱かれてなんかいません・・・いなかったのに・・・」
「抱かれてなくても電車でのことは本当なんでしょ。そのころからご主人を裏切っていたんじゃない?今さら言い訳はできないわよね」
二重三重の秘密が真紀をがんじがらめにして追い詰めていく。
腕の中の真紀が大きく深呼吸をしてその時のことを思い出す。
「・・・あの日・・・男の人の手がお尻にあったと思ったらいつの間にスカートの中に・・・あぁぁ・・・それからはもう気持ち悪くて・・・怖くて・・・逃げられなかったの」
「それで?」
「次の日も気が付いたら後ろにいたんです・・・部長さんだった・・・胸まで触られて・・・怖くて・・・怖くて何もできなかった・・・」
「逃げなかったってことは痴漢されてもOKってことじゃない。おバカさんね」
「・・・しつこくて・・・だって・・・自分の上司じゃないですか・・・あぁぁ・・・部長さんからやっと逃げたと思ったのに・・・」
確かに事を荒立てれば自分も無傷ではすまなかっただろうし、同じ社内にいた雅彦さんをも失ってしまったかもしれない。
今の時代では通用しないだろうが、真紀らしい選択だ。
「つらいことがあったのね。いつまでも引きずっていないでもう忘れましょう」
「忘れられるわけない・・・あんな人に私は抱かれてしまったんです・・・」
「しっかりしなさいってば。あなたは旦那さまの運命を握っていて幸せのためにがんばってる。それでいいじゃない」
栗色の髪を撫でると真紀がしがみついてくる。
「どれだけがんばれば許してくれるの・・・ゆきさん・・・ゆきさん・・・」
「まだまだよ。部長さんがね、今日雅彦さんが会社に行ってからまたゆっくりと会いたいって言うの・・・どうかしら・・・あなたを想うその気持ち、わかってあげなさい」
「そんなこと言われても・・・あぁぁ・・・どうしたらいいの・・・どうしたら・・・いいの・・・ゆきさん、教えてあぁぁ・・・」
私に答えを求めても無駄だ。
「迷うことはないわ。いつも言うけどあなたのことはあなたが決めなさい。みんなが幸せになるにはどうしたらいいの?」
うつむいている真紀の顔をこちらに向かせ涙でいっぱいになっている瞳を見つめてしっかりと言いつけると、泣いたまま黙ってまた下を向いてしまう。
「しっかりしなさい。どうするの?」
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